2017.01.04更新

 会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。多事多難な世情ですが、今年こそ平穏無事な1年であって欲しいと、切に願わずにはおられません。

さて表題の件ですが、私の加齢に伴う様々な身体の衰えに対する対策で、数少ない成功例の一つとして紹介したいと思います。
 50歳を過ぎた頃でしょうか。加齢に伴う様々な身体の不調を自覚するようになりました。最初はカルテの字が見えにくくなり、五十肩で苦しんだ後、やがて髭を剃った後の皮膚の荒れ、踵の角化亢進とひび割れ、最近では身体の冷えと夜間頻尿、そして難しい本を読む気力の減退と、一々数え上げたらきりがなく、心も滅入ってしまいます。いろいろと対策をするのですが、なかなかうまく行きません。そのなかで数少ない成功例の一つがオリブ油による「踵ケア」でした。
 50台の半ば頃からだったと思いますが、踵のひび割れや角化に悩むようになりました。風呂に入ったときに軽石でこすったり、湯上がりにワセリンを塗ったりと種々試みたのですが、一向に改善することなく、年ごとに悪化しました。まるで正月を過ぎた鏡餅の表面のようひび割れ、カサカサ、ガリガリ、血が滲んだり、また靴下やシーツに引っかかったりと、この上なく不愉快な思いをしていました。踵だけではなく、足の甲の皮膚にも角化と亀裂が目立ってきました。万策尽きて、何とかならないかと思案したときに、ある方法を思いつきました。それは、アトピー性皮膚炎や湿疹のひどい子ども達に勧めていた、入浴前の第3類医薬品「オリブ油」の塗布です。大した期待はしていなかったのですが、やってみるとあれほど長年苦しんできた踵のひびが3〜4日ほどでほぼ完璧に治ってしまいました。若かりし頃のツルツル、つやつやの踵に戻っていたのです。思わず叫びました「これは奇跡の踵だ!」。
 入浴前のオリブ油塗布は、もともと患者から教えられた方法でした。8年ほど前のことです。四日市市に住んでいる3歳ほどの女のお子さんで、母親の実家が所沢ということで春休みや夏休みなどに遊びに来ていて、風邪を引いたときなど私の診療所を受診していました。その子はアトピー性皮膚炎がありました。ちょっとひどいなと思うこともありましたが、当院ではそれに対してとくに薬は出していませんでした。ところが、ある日久しぶりに当院を受診したときに、アトピー性皮膚炎が著明に改善していたのです。母親に「何か試したの?」と聞いたところ、「地元の皮膚科医に勧められて入浴前にオリブ油を体全体に塗ることにした。そしたらずいぶん良くなって、今では保湿剤だけでステロイドも必要なくなった。」ということでした。これは頭をガツーンと殴られたような衝撃でした。日頃から乳幼児のスキンケアについて、文献を読み、研究し、試行錯誤もしてきたのですが、このようなスキンケアはまったく考えもつかないことでした。しかしよく考えてみると、それはとても理にかなっているように思えました。皮膚のバリア機能は角質層によって維持されていますが、その機能を充分に果たすにはその表面を被覆する皮脂と角質細胞の間隙を埋める細胞間脂質がしっかりと存在していることが必要です。お湯に入れば皮膚からの油分が失われますし、ましてや石けんで洗えば相当程度に無くなります。入浴前に油を塗っておけば、その喪失が抑制され、結果としてバリア機能のダメージも最小限に抑えられます。私はさっそく当院の患者にこの入浴前オリブ油塗布を勧めてみました。その結果、相当の患者に良い感触を得ました。
 そこで2012年に湿疹を主訴に受診した5歳以下の患者にこの方法を勧め、毎日の実施状況と皮膚の状態を記録し、2週間後に患者の状態と保護者の感想を記録する調査を行いました。18例の登録で12例から調査票を回収でき、有効は7例(58%)、無効は5例(42%)でした(2013年 第12回東北外来小児科学研究会、第301回所沢小児科医会で発表)。期待した程には有効率は高く無かったのですが、費用もかからず、副作用のない方法なので、充分に試みる価値はあると思いました。そこで石けんの不使用や通常の保湿で改善しない患者には、入浴前のオリブ油、あるいはワセリン塗布を勧めました。相当数の患者からは、とてもよくなったと感謝されました。
 そのようなこともあって、いわば窮余の一策で自分の踵に試したところ、劇的な効果を得たのです。もう一つ嬉しい効果もありました。それは長年悩んでいた足の水虫(白癬)も完治したのです。毎年夏になると決まって趾間の皮膚がただれ、抗真菌剤を塗布して暫くよくなってもまた再燃する、そんなことをずっと繰り返していたのですが、オリブ油でしっかりと趾の間もケアするようになってから、まったく再燃しなくなりました。驚きの効果でした。最近では、母親に入浴前オリブ油塗布の説明をする時、靴下を脱いで私の足を見せ、「このようにするとこんなに良くなるんだ。」というと、大抵のお母さんは「うわー、奇麗、つやつや、私の踵よりいいわ!」と言います。踵でお悩みの方は是非、試みてください。写真に最近の足の状態を提示します。踵

 オリブ油は日本薬局方の第3類医薬品に分類され、効能効果として「皮膚の保護、日焼け炎症の防止、やけど、かぶれ」が記載されています。成分はオリブ油だけで添加物や保存剤は含まれていません。健栄製薬株式会社、小堺製薬株式会社でされており、薬局で購入できます。踵のカサつきに悩まれている方は、是非お試しください。オリーヴ

くさかり小児科  草刈章

投稿者: 一般社団法人所沢市医師会

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