所沢市域内においても新型コロナウイルス(COVID-19) 感染者が急増しており、4月15日の時点で74人になっています。

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人口当たりの発生数をみると、県内ではだんとつの多さで、一般の診療所にいつどのような形で患者が来てもおかしくないという状況になっています。そこで当院でもさらなる対策を行うことにしました。
一つは受付する窓口に透明なビニールシートを設置しました(写真1)。また事務室と診察室にSHARP製の加湿空気清浄機(KC-30T6)を設置しました(写真2)。浮遊菌や浮遊ウイルスなどを強力に除去するフィルターを用いているということです。

またドアノブやカウンター、手すり、イスなどは1時間おきに次亜塩素酸水で清拭しています。窓はできるだけ一部を開くようにして、待合室、診察室に空気の流れを作るようにしています。今の時節では時折冷たい風が吹き込んできますが、やむを得ないことだと思っています。
所沢市医師会、および所沢市、市民医療センターとの協議の結果、市民医療センター内に発熱外来を設置するとの通知がありました。これは医師会員や成人の発熱患者にとってはありがたいことだと思いますが、乳幼児は新型コロナウイルス以外の原因で発熱することも多いので、これをすべてここに紹介するとなると、患者の過剰な負荷によって医療センターがそれこそ崩壊してしまう恐れもあります。私はやれる範囲で発熱患者を診療することにしました。
もちろん完全な感染防護用品はありませんが、できるだけ工夫して作りました。まずマスクですが、これは2009年に新型インフルエンザが流行した時に買いだめしたシゲマツ製のN95マスクの在庫がかなりありました。

顔面の防御は県医師会から紹介されたタイロン社のフェイスガードシートを購入しました。防護服は90Lのゴミ袋を買ってきて、頭と手が通るような穴を開けて、貫頭衣のようなものを作りました。イタリアの新型コロナウイルス感染者の治療を行なっている病院の映像ニュースで、看護師が「防護服がないのでゴミ袋を渡された。これじゃ自分の身は守れない」と叫んでいるのをみて、これは使えるじゃんと思ったのです。ゴミ袋に三つの穴を開けますが、あらかじめその部位にガムテーブを折り返して張っていることで裁断しやすく、穴の位置も確認でき、補強にもなります(写真3)。首を通す穴には10cmほど縦に切れ込みを入れると被りやすいです。手には普通のゴム手袋(Medicom Safe Touch Advanced Platinum L)をし、前腕はラップでぐるぐる巻きをしました。もちろん完全な防護服ではありませんが、かなりの安心感があります。
先日(4月16日)、午後に2歳の男児が発熱しているので診てほしいという電話がありました。昨日から39〜40度の熱が続いていて咳をしているということです。父親もその数日前から発熱と咳が出ていて、内科でレントゲン検査を受けたところ肺炎にはなっていないということでした。車で待機するようにいって、例の感染防護服を着て、手袋をし、前腕と聴診器にはラップを巻いて(写真4)車の中で診察をしました。元気そうで、一般状態は良く呼吸困難はありませんでした。またインフルエンザの迅速検査と毛細管採血による血液検査も行いましたが、インフルエンザは陰性、白血球は7800/μl、CRP;0.5mg/dlであり、肺炎を起こしてることはないので、2日間は自宅で様子見るように言いました。
医師会の先生方のメールを見ますと、内科の先生方のところには普通に新型コロナの患者さんがきているようです。PCRの検査がなかなかやってもらえないという報告もあり、所沢地域の感染の実態がリアルタイムで把握できない状況です。小児科の患者は必ずしも発熱と咳を発現してくるわけでなさそうなので、しばらくは緊張した診療を余儀なくされそうです。
             

写真1 受付のビニールシートの間仕切り

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 写真2 シャープの空気清浄機

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写真3 ゴミ袋を利用した防護服

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写真4 発熱・咳患者を診療するときの感染防護スタイル

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くさかり小児科 草刈章  令和2年4月18日