地中海と大西洋の二つの海に面するモロッコは、チュニジア、アルジェリアとともに、マグレブ三国の1つで、ムハンマド6世を国王とする王国です。マグレブとは、アラビア語で西方の意、太陽の沈む国を意味するそうです。「日出づる国」からはちょっと遠いのですが、ここの友人とは20数年来のお付き合いで、いつ行っても変わらぬ人情にほっとします。
モロッコでは先住民のベルベル人に、エチオピア人、ツアレグの遊牧民、さらにアラブ人が加わって多民族の融合が進み、肌の色は千差万別。一家族の中に黒人と白人ほどの違いが普通に見られます。必定、肌の色による差別感情は全く見られません。
国の真ん中を4000メートル級のアトラス山脈が走り、南はサハラの灼熱の荒野に繋がりますが、アトラスからの適切な雨のおかげで、北中部は豊かな農作物に恵まれています。おかげでおいしいものが沢山あり、中でも果物が素晴らしい!
首都はラバトですが、最大の商業都市はご存知のカサブランカ。ここが友人の拠点です。大西洋の海岸沿いに並ぶ地元の小さな食堂には、新鮮な海の幸が溢れています。アツアツのタジンの蓋を開けると、羊肉、牛肉、魚、野菜と、何でも大量。金曜日は、クスクスをいただきます。何にでもオリーブは無くてはならない食材で、独特のモロッコパンは、オリーブオイルをちょっと付けて食べると、パンのおいしさが引き立ちます。ナッツ類をたっぷり入れたパンケーキのお化けのようなパスティラは、みなで囲んで分けて食べます。ヨーロッパが起源だと思っていたお菓子の殆どは、モロッコに昔からあったもののようで、道端のお菓子屋さんには、面白い形のお菓子とそのディスプレイが楽しくて、注文するのに目移りがして困ります。
道端にはオレンジ、ザクロ、サボテン、イチジク、ブドウなどなど、山に盛った荷車が点在し、その場で飲むフレッシュジュースのおいしいこと。道行く人は、ズボンやスカートに混じって、民族衣装の人も半々くらいいます。フード付きのジュラバに、バブーシュ(スリッパの形)をはき、子供を小脇に抱えて買い物をする女性。車が走る大通りを、ロバも一緒に荷物をしょって働いています。足元のおぼつかないおばあさんが道を横切ろうとしていると、そばにいた青年がすっと手を差し伸べてサポートする、日本ではなかなか見られない風景ですが、ここではとても自然です。就学率は必ずしも高くない国ですが、イスラムの教えでしょうか。
毎朝、礼拝を告げるモスクの鐘と読経の声で目が覚めます。朝食はハリラスープでもいいし、薄く焼いたパンケーキにハチミツをたっぷりかけてもおいしい。いつもミントティーは欠かせません。今日はスークの香水屋さんを覗いてみます。モロッコは香水の一大産地で、フランスや日本の化粧品会社が農園を持っているそうです。私は、バラとオレンジのオイルが特に素晴らしいと思います。外に出ると空の深い青さが、ああ今モロッコにいるのだと実感させてくれます。

 

おうえんポリクリニック

並里まさ子

 

金曜日のクスクス

金曜日のクスクス

スーク

スークのオリーブ屋さん

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路上のザクロ売り・ジュースがおいしい

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 お菓子屋さん

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スークの香水屋さん 

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カサブランカの青い空

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道行く人の服装

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友人宅の玄関